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コラム
柱が細く見える理由と強さの「秘密」。aisuの家の構造設計

モデルハウスをご覧いただいたお客様から、よくこんな声をいただきます。「柱が細いように見えますが、本当に大丈夫なんですか?」
aisuの家では、標準仕様として105mm角の集成材を柱に採用しています。たしかに、昔ながらの太い大黒柱や重厚な柱を見慣れている方には、少し頼りなく映るかもしれません。

けれども、この寸法で十分な耐力を発揮できる理由があります。従来の木造在来工法では、柱と梁をつなぐために「仕口(しぐち)」と呼ばれる複雑な加工を施してきました。
これは伝統的な技術ですが、木を深く削り込む必要があり、柱の断面が小さくなってしまいます。たとえば四方から梁を受ける大黒柱は、四面すべてに欠き込みが入るため、太さそのものが必要になるのです。

その結果、耐力を確保するために大きな柱を用いたり、柱頭や柱脚に補強金物を追加したりと、施工が複雑化し、品質のばらつきや施工ミスのリスクも抱えてきました。
aisuの家では、この課題に対して「金物工法」を採用しています。柱や梁の内部に専用の金物を埋め込み、ピンで接合する仕組みです。標準仕様の集成材にはテックワンP3工法、オプションの国産JAS無垢材にはKS金物工法を使い分けています。
この方法では木を大きく欠き込む必要がなく、断面欠損を最小限に抑えられます。つまり、105mm角という寸法であっても、本来の木の強さを十分に活かすことができるのです。

さらに、接合はピンが確実にはまっているかどうかで確認できるため、現場でのチェックも明快。施工精度が安定し、人為的なミスを抑えることができます。結果として、柱頭・柱脚の補強金物も最小限にとどめられ、設計と施工の両面で合理的な構造を実現しています。

ここでお伝えしている構造の考え方は、新築住宅だからこそ可能なものです。リフォームやリノベーションでは既存の構造に左右されるため、同じ方法はとれません。
aisuの家は、新築という舞台の上で、素材の力を最大限に活かし、無理のない合理的な構法を追求しています。細く見える柱の一本一本に、そうした考え方が込められているのです。